同じ「調光フィルム」という名前でも、電気を切ったときに不透明になるもの(ノーマルモード)と、逆に透明になるもの(リバースモード)があります。見た目のカタログ写真は似ていますが、停電したときの見え方も、電気を使う時間も逆になります。
公開 2026年8月19日 更新 2026年8月20日 未来現株式会社
結論
| 無通電(電源を切る・停電) | 通電 | |
|---|---|---|
| ノーマルモード 「PDLC」として売られているものはほぼこちら | 不透明 | 透明 |
| リバースモード 「PNLC」の名で売られていることが多い | 透明 | 不透明 |
一般的によく使われているのは ノーマルモード です。「調光フィルム」「PDLC」とだけ書かれている製品はほぼこちらで、そのつもりで設計を進めて問題になることは多くありません。ただし両方が流通している以上、どちらなのかを確認せずに決めてよい事柄ではありません。
PDLC(高分子分散型液晶)は、樹脂の中に液晶の粒が散らばった構造です。電圧をかけていないと粒の向きがばらばらで、光が散らばるため白く濁って見えます。電圧をかけると向きが揃い、光がまっすぐ通るので透明になります。つまり「透明でいるあいだ、ずっと電気を流している」状態です。
これと逆に、無通電で透明・通電で不透明になるものがリバースモードです。逆になる理由は材料の種類ではなく、無通電のときに液晶が揃って並ぶように配向を設計してあることにあります。
⚠ 「PNLC」は本来モードの名前ではありません。PNLC(高分子ネットワーク型液晶)は樹脂の量が少ない構造の呼び名で、材料としてはノーマルモードのものもあります。ただし調光フィルムの商流では、リバースモード品が「PNLC」「Reverse PDLC」という名前で売られていることが多いのが実情です。製品名の PDLC/PNLC だけで挙動を決めず、必ず仕様書の無通電時の状態をご確認ください。
1. 停電したときに、どちらの状態でいてほしいか
これが一番大きい違いです。電気が止まったときフィルムは選んだ型のほうへ勝手に戻ります。会議室や診察室のように「見られたくない」が優先される場所なら、停電で不透明になるノーマルモードが理にかなっています。逆に、避難経路や店舗の出入口まわりのように「暗いときこそ向こうが見えていてほしい」場所では、無通電で透明になるリバースモードのほうが安全側です。後から入れ替えるにはフィルムごと貼り替えることになるので、ここは最初に決めておく事柄です。
2. どちらの状態でいる時間が長いか=電気を使う時間
透明でいるあいだ通電するのがノーマルモード、不透明でいるあいだ通電するのがリバースモードです。1日のうち長いほうの状態が「無通電側」になるように選ぶと、通電している時間が短くなります。ふだんは透明にしておいて必要なときだけ隠す使い方ならリバースモードのほうが通電時間は短く、逆にふだん隠しておきたい間仕切りならノーマルモードのほうが短くなります。
3. 入手性
流通量が多いのはノーマルモード(PDLC)です。サイズ・厚み・色味の選択肢や、加工を頼める先の数もこちらのほうが多くなります。
当社のコントローラは、各社のフィルムに合わせて出力を調整できる設計です。一般的な交流駆動の PDLC/PNLC 調光フィルムであればお使いいただけます(特殊な駆動条件を要する製品では適合しない場合があります)。1枚のガラスを複数のゾーンに分け、ゾーンごとに透明度を設定するマルチゾーン調光システムは、どちらの型でも成立します。
なお、駆動できる面積はフィルムの型ではなくフィルムの消費電力(W/m²)で決まります。目安は評価キットの概略仕様に表で載せています。